コロナ禍を理由としての面会交流の不履行に対し,同居親とその代理人弁護士への損害賠償請求訴訟

面会交流は子の利益にとって重要なものであり,これを一方的に不履行にすることは許されません。
新型コロナウイルス感染症のために自粛要請が出ていたとしても同様で,自粛要請によって審判で定めた面会交流の義務が無効となる法的根拠はありません。

海外においても,日本よりも感染率や死者数が多く,罰則をもって強制的に外出制限をしている国であっても,面会交流の権利は保障され続けています。
当然,子供への危険は考慮しなければなりませんが,子ども自身が健康で,両方の親の健康にも問題がなければ,漠然とした感染の危険性は面会交流を不履行にする理由として不十分です。
たとえば,米国アリゾナ州の最高裁判所が4月に発行した面会交流のガイドラインでは,「The COVID-19 pandemic is not generally a reason to deny parenting time.(COVID-19は育児時間を否定する有効な言い訳にはなりません。)とされています。
https://www.azcourts.gov/Portals/216/Pandemic/COVID19ParentingPlans.pdf

ケンタッキー州最高裁判所だと(他の多くの州でも同様ですが),面会交流を停止する事情として以下のものをあげています。
https://www.wpsdlocal6.com/news/kentucky-supreme-court-gives-guidelines-on-custody-and-parenting-time-orders/article_5cf1d210-72de-11ea-936c-7bf5fafedfca.html

●世帯の誰かがCOVID-19について陽性反応を示した場合。
●世帯の誰かがCOVID-19にさらされたと通知された場合。
●世帯の誰かが過去14日以内に、疾病予防管理センター(CDC)レベル2またはレベル3の旅行勧告のある地域に旅行したことがある場合。

逆に言えば,これらの事情に該当しなければ,面会交流を継続しなければならないということです。

以下は裁判所の審判で決められた面会交流を,4月をコロナ禍を理由として,3月は別の理由で不履行にされたことから,損害賠償請求を求めた訴訟です。
5月7日に熊本地方裁判所で提訴。
(お金の問題ではありませんが,相手が誠実な対応をしてこない以上,親子の交流を不当に阻害した責任を追及するには,このような裁判の方法しかありません。)

この訴訟の原告は,仮に面会交流を翌月以降に振替をする場合であっても,それまでにオンラインなどでの方法で子供と交流することを求めたのですが,それも拒否されているため,被告となっている同居親や,その代理人弁護士の子の利益を蔑ろにした悪質性は顕著です。

20200507訴状_マスキング

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