2018年11月

共同養育と子の発達

福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授によると,共同養育者の数が多いほど子供の成育機能,ワーキングメモリー,情動に関わる領域のネットワークが発達しているということです。 https://vpoint.jp/education/124880.html 日本は離婚後単独親権制度であり(実質,別居後単独親権制度ともいえる運用になっています),裁判所が認める別居・離婚後の子と別居親の交流は,月に1,2回程度と貧弱です。 実の親子関係でもそうなのですから,別居親側の祖父母や親族といった関係になると更にひどく,断絶されていることも少なくありません。 しかし研究結果として,そのような本来は子どもに愛情の注いでくれるはずだった相手との関係を断絶することは,子どもの福祉に反する行為ということになります。 このようなことは,研究結果を持ち出すまでもなく,常識的に考えても当然のことと思うのですが。 そうすると,子どものためには,共同養育に積極的で寛容な者が親権者になることが好ましいということになります。 裁判官や家裁調査官には,このような根拠に基づいた判断をするようにしてもらいたいものです。 ... 続きを読む | Share it now!

子の連れ去りと監護者の指定についての国会答弁(平成30年11月16日)

この国会答弁では触れられていませんが、そもそも夫婦関係には同居義務があるのですから、よほどの正当な理由がない限り、別居すること自体が法的には違法行為です。 それに、過去の判例には、育児を「無上の喜びや感動」を与えられる体験としているものもあります(東京高等裁判所平成21年12月21日判タ1365号223頁)。 そのため、正当な理由なく子を連れ去って別居し、「無上の喜びや感動」の機会を奪うことは、相手に著しい精神的苦痛を生じさせる行為です。 事実、『親子りんくす@熊本」にもそのような精神的苦痛を被った当事者が集まっています。 そして,このような子の連れ去りは、協力して子を育てるべき父母間の信頼関係を著しく破壊する行為ですので、子の福祉の観点からも不適切です。 裁判所はこのような実情に鑑みて、不当な同居義務違反である子の連れ去り別居を追認することなく、むしろ、子の福祉のためにも、このような行為に対して抑止力となる判断をすべきなのではないでしょうか。 ... 続きを読む | Share it now!